歴史余話

歴史の深層、歴史あれこれ 九州学院の卒業生でも意外に知らない学校の歴史エピソードやこぼれ話などをご紹介します。

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第ニ十九話 「九州學院新聞」の発刊

 九州學院新聞は1935(昭和10)年9月25日に第1号が発刊された。毎月1回25日に発行とされているが,第2号からは30日発行となっている。B5サイズの紙面で毎号8ページから10ページで編集されている。編輯後記(編集後記)によるとこの新聞は一部5銭で、年間60銭となっている。
現在の「九学通信」は年3回で、「九州学院同窓会新聞」は年1回発行され、住所が判明している同窓生全員に送られている。

九州學院新聞

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 第1号の要目(目次)は次の通りで、多彩な内容となっている。
  △発刊の辞にかえて・・・稲冨肇
  △祈りの体験・・・海老名先生講演
  △本誌の発刊を祝す・・・山本武雄
  △故遠山先生の三年祭近づく
  △學院日誌
  △校友会欄
  △運動欄
  △學院教会便り
  △學院の孫
  △編輯後記

現在、第1号から第28号までの合本が有るがなぜか第16号と第22号は欠落している。その第1号の1面にある当時の稲冨肇院長の記事と編集後記を転載する。

発刊の辞にかえて 稲冨 肇

 今秋は遠山先生昇天されて早や満三年になる。謝恩会の事業愈々完結に近づき、市内万日山に新に建立された先生のお墓は竣工し、来る十月九日には墓前にて三年祭が執行されることになって居るその前後に追悼音楽会と御遺族を迎へての謝恩会との開催が計画され、學院及び校友一丸となって着々その準備を進めて居る。
 秋晴れて天高く、先生の温容を追い、先生の高徳を偲べば轉た敬慕の念切なるものがある。先生が學院に遺されたものは決して少なくないが、現在の學院そのものが先生の頌徳碑であると云っても過言ではあるまい。殊に永久的に尊いものは先生の御人格と信念とを通して我らの思想と生活とを統制しゆく指導原理である。敬天愛人。自分で自分を監督せよ。役に立つ善人となれ。これらの言ほど度々先生の唇に上つた言は外にない。従ってこれ等の言は學健児の魂の真髄に深く喰入り、校友の人格の中に、我等の教育の中に今猶力強く生存してゐるものである。
 學院の若人たちが目前の小利を追はず、理想を高く天にかゝげて日に月に向上の一途を邁進するのも、規則によって拘束されるが為にあらず、刑罰の笞を恐れるが為にあらず、自由自発、自立自治、人を相手とせず天を相手として、各自その才能を伸ばし、各自天與の使命に精進するのも先生によって示された大道である。殊に先生が言に行に絶えず高調力説されたのは和衷協同の精神である。學院の事業は決して少数の人物力量によって経営されるものでなく二十余年のその歴史は幾百幾千の同志の愛と祈りと努力との結晶である。遠山先生が逝かれてこの三年、幾多の難關を突破して今日の隆昌を見る事を得るのは実に先生の徳化によって蒔かれた先生の遺韻によって培れてゆくこの和衷協同の結果の外ならない。
 今回學院、校友会、學友会の発起協力によって月刊九州學院新聞が発刊される事になった。之によって學院のあるがまゝの姿と新に進み行く足跡とが描写され、實社會にあって日夜奮闘中の校友諸氏の懐旧乃至後進奨励の音信を傳へ、又朝に夕に文を修め武を練る七百五十の健児の雄叫びの聲が聞き得られることゝ思う。要するに本紙は九州學院に直接間接の関係を有し関心を持つ凡ての人の家庭新聞である。親子兄弟水入らずの会見団欒の食卓でありたい。親しみがありユーモアがあり真面目さがあり、教訓があり時には要談もあろう。この趣旨この心持ちで此新聞は編輯される。九學の伝統的誇りの一は和衷協同の實である。私は九州學院新聞の発刊される事によって益々御互の協力同善の精神を強め、之を成長発達せしめて學院の偉大なる力となしたいと切望してやまないものである。(原文のまま)

九州學院新聞

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編集後記

 創刊號は記事が輻輳して豫定の八頁を十頁に増さなければならぬ様になった。それでも尚記事を縮めたり次号に回したのもあるが書いた方には気の毒であるが次號には載せる様にするから御了承願ひたい。

 新聞代は一部五銭で、一年分六十銭を戴く事にして居る。校友諸君は振替で御払込みになれば双方便利だと思ふ。将来は新聞代で新聞の経済を立てたいと思って居るから諸君の御協力をお願ひする。

 この前御送付申上げた校友の住所氏名に不明の点點はブランクにして居るが若し御承知の方があったり、又其後の住所變更があったすぐ御知せ願ひたい。あの名簿に間違ひがあったら正誤したいと思ふから以上の事は皆高木先生まで御通知願ひたい。

 新聞の編輯には私と櫻井先生が稲冨院長御後援の下に直接當る事になって居るが、外に特別寄稿家として、松田、紫垣、川瀬、三上の有力なる先生方が御尽力下さる事になって居るので心強い事である。伸びる九州學院の発達をこの方面にも実現させたいと思う。(古坂)(原文のまま)

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