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創立112周年記念日講演 村上みか先生を講師に迎え

[2023-01-16]

 九州学院では1月19日を学院の創立記念日(1910年同日設立認可、開校は1911年)として定め、この日に近い適当な期日に毎年「創立記念講演会」を開催しています。創立112周年記念日講演と冠した今回の講演会は本日1月16日(月)午後、講師に同志社大学神学部教授、キリスト教文化センター所長の村上みか先生をお招きして『歴史を生き抜いた人々-ルターと新島襄-』の演題で中高生・教職員に向けたご講演をたまわりました。なお、新型コロナウイルス感染拡大により、今回の講演会は会場と各教室をウェブ会議システム(Zoom)で繋いでの実施となりました(各クラス代表生徒のみ3号館ホールに集まりました)。

 村上先生はバーゼル大学(スイス)神学部博士課程を修了(神学博士)され、歴史神学ならびに宗教改革史が専門でいらっしゃいます。宗教改革の歴史を教会史の枠の中でのみ理解するのではなく、より広い歴史的文脈の中で理解することにより、宗教改革の全体像をとらえることに注力されています。2022年には熊本バンドとのつながりを学ぶための学生研修のため来熊されました。(参考資料・引用元「同志社大学教員紹介」)

 ご講演の中で村上先生は「16世紀に現在のドイツで宗教改革を行い、九州学院と密接な関係性があるルターと、19世紀後半に渡米し、帰国後に同志社英学校を設立した新島襄には共通することがあります」と語られました(現在、九州学院と同志社大学は「キリスト教主義学校の連携ネットワーク」による特別提携関係を締結しています)。ルターが生きた16世紀のヨーロッパはペストの大流行による社会混乱期にあり、戦争や農業危機も相まって人々は心身共に疲弊している状況でした。誰もが死を強く意識する状況下で、ルターもまた絶望に近い状態で葛藤の日々を送っていました。やがてルターは自身の内面にあるものを認めて神の前に謙ることが、神を愛し、人を愛することの初めだとの思いに至ります。一方の新島襄は、その渡米は当時の国禁を犯した違法行為でありましたが、航海でも滞在先のボストンでも多くのキリスト教徒による熱い支えと祈りがありました。やがて洗礼を受けて神学を学び、牧師になった新島は帰国後の1875年に同志社英学校を設立しますが、その教育の基盤に据えたものがキリスト教主義教育でした。村上先生は新島の言葉をいくつか紹介されましたが、その一つである「人の偉大さは、学識だけでなく私心のなさに現れる」は、まさに神の前に謙りることに重きを置いたものと言えます。

 まとめで村上先生は、「ルターと新島襄に共通することは、たいへん困難な状況のなかでまず徹底して神さまの前に謙ったこと、そしてその点を踏まえて『世の中で自由に良く生きた』ことです。皆さんもまずは考えることから始めてください」と熱弁されました。

 この度はご多用中、本校生徒・教職員にご講演いただきましたことに深く感謝申し上げます。村上先生の今後ますますのご活躍をお祈り申し上げます。

 

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