花岡山で「熊本バンド146周年記念早天祈祷会」
[2022-01-30]
1月30日(日)午前6時30分より花岡山山頂の熊本バンド奉教之碑前において、毎年恒例の「熊本バンド146周年記念早天祈祷会」(同実行委員会主催)が開催されました。例年、九州学院からは多くの教職員や敬愛会(高校宗教部)メンバー、同志社大学などキリスト教系大学へ進学する生徒など約50人が参加していますが、前回に続いて今回も新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から現地参加者はスタッフや奉仕者などに限り、ライブ配信映像視聴による参加となりました。
例年の祈祷会では本校とルーテル学院高校の生徒が特別聖歌隊として讃美歌21の57番『ガリラヤの風かおる丘で』を高らかに賛美するのですが、今回は現地集合ができないことや合唱練習も行えなかったことから、ルーテル学院中高ハンドベルクワイア『ソーヌス・アンジェリクス』の皆さんの演奏(事前録音)が流されました。また、本校から奉仕者として唯一現地参加した村田陽海さん(高3)は、後に「熊本バンド」とよばれた青年たちが誓った「奉教趣意書」口語訳(下部参照)の朗読を行いました。
現地およびライブ配信視聴での参加者一同は、越後屋朗氏(同志社大学神学部教授)による『目を開く』と題した奨励に傾聴し、146年前のできごとに思いを馳せ、祈りを合わせました。
=参考資料=
【奉教趣意書(口語訳)】
キリスト教を信じる宣言文
我々が、キリスト教を学んだところ、大変教えられるところがあった。以後、これを学べば学ぶほど喜びが得られる。そこで、このキリスト教を日本の国中に伝道し、文明を知り文化を得てほしいと考えるに到った。しかしながら、キリスト教の深い真理を知らずして、古い伝統と習慣にしばられている人々が少なくない。我ら新しい真理を知った者として、この真理を知らない人々の現状を見るに、いたたまれないもどかしさを感じる。この際、我ら、新しい大きな使命をになう青年は、一大決心をし生命がけでキリスト教が公明正大な宗教であることを、明確にしてゆかねばならない。この決意の実行に、我々はもっとも力を尽くすつもりである。そこで志を同じくするものが、花岡山に登り、一致協力してキリスト教の信仰を守ってゆくために、次の約束をする次第である。
一.キリスト教を信じる者は、お互いに兄弟としての交わりをもち、生活全般にわたって、互いに戒めあい忠告しあいながら、良い行いを実行しなければならない。
一.いったん、キリスト教の信仰を持ちながら、信仰にふさわしい生活ができない者は、神をあざむくことになる。また、自分自身の心をもあざむくことになる。こうした者は、必ずや神の罰を受けることを知らなければならない。
一.今日、我が国の多くは、キリスト教を拒否している。それ故に我らの内、たとえ一人でもキリスト教をすてる者は、世間の物笑いになるだけでなく、我らのせっかくの決意をもふみにじり、実行不可能にしてしまう。ともども、努力しようではないか。
1876年1月30日 日曜日 記す
【熊本バンドについて(花岡山「熊本バンド奉教の碑」解説より)】
日本のキリスト教プロテスタント教会の歴史には、内村鑑三を中心とした札幌バンド、植村正久を中心とした横浜バンドと熊本バンドの三源流があります。熊本バンドとは、同志社の宣教師が、熊本から来た青年たちを熊本のグループという意味で呼び始めたことから用いられるようになりました。この青年たちは1871年(明治4年)に設立された熊本洋学校で、アメリカ退役軍人ジェーンズ教師の感化によってキリスト教を受け入れた者たちです。彼らはその思いを「奉教趣意書」という文章にまとめ、これに署名した35人と後に仲間に加わった者で、その大部分の青年が創立直後の同志社に転校卒業し、同志社のみならず、日本の近代市民社会形成の上で大きな貢献をしました。「奉教趣意書」は1876年(明治9年)1月30日、花岡山で行われた祈祷会で朗読して署名されました。花岡山にある「奉教之碑」は同志社創立90年記念に寄贈され、1965年(昭和40年)に建立されました。