WBA世界バンタム級王者の堤選手が壮絶戦の末に初防衛!
[2025-02-25]
2月24日に有明アリーナで行われたWBA世界バンタム級タイトルマッチ(12回戦)で、九学OBの王者の堤聖也選手(S68回・2016年卒=角海老宝石)が同級4位の挑戦者比嘉大吾選手(志成)と壮絶な打ち合いの末に引き分けて初防衛に成功しました。 3人のジャッジ全員が114-114という結果で、戦績は堤選手が12勝(8KO)3分け、比嘉選手は21勝(19KO)3敗2分けとなりました。
九州学院ボクシング部ではモスクワ五輪日本代表の木庭浩一元監督(S28回・1976年卒)、平成国際大ではその弟の木庭浩介監督(S31回・1979年卒)の指導を受け、全国高校選抜優勝、関東リーグ戦2部4年連続全勝、国体準優勝などの実績を残しています。2018年にB級でプロデビューして2022年には日本バンタム級王者になり、4度の防衛に成功した後に世界戦を目指し2024年1月に王者を返上しました。そして2024年10月に井上拓真選手(大橋)を破ってWBA世界同級王者の座を獲得、今回初の防衛戦に成功しました。 これからのさらなる活躍が期待されます。今後とも九州学院同窓会を皆様のご声援を宜しくお願い致します。
<熊本日日新聞 2025年2月25日 >
「打ち合い壮絶、起死回生の右さく裂 堤(九州学院高出)WBAバンタム級王座を初防衛」
まさに起死回生の一発だった。WBAバンタム級王者の堤聖也(角海老宝石、九州学院高出)が、旧知のライバルと拳を交えた初の防衛戦は、明らかに劣勢だった。それが、9回にダウンを奪い返して一気に流れが変わった。 同じ9回に挑戦者・比嘉大吾(志成)の左フックで「人生で初めて」というダウンを喫していた。「ポイントでは上回られている。攻めるしかない」。堤は落ち着いて逆襲の機会をうかがった。好機とみて強打を振り回す比嘉のガードが、がら空きになった。試合巧者の王者がその隙を見逃すはずがない。右を打ち降ろし、相手のあごを捉えた。前のめりに崩れた比嘉に「あそこから記憶が途切れた」と言わしめる大ダメージを与えた。主導権は完全に王者に移り、前へ前へと手数で圧倒した。ジャッジの採点は8回まで挑戦者が優勢だったが、9回以降は全員が王者を支持した。終盤の猛烈な追い上げが実ったドロー劇だった。不運はあった。4回に偶然のバッティングで右まぶたを切るアクシデント。堤の顔は赤く染まり、「視界が狭まり、ほぼ見えなくなった」。過去3度の対戦から接近戦とみた予想は外れ、距離を取って左の強打を狙う比嘉の作戦にも戸惑った。 初の防衛戦で王座は守ったが、引き分けという結果に満足していない。王者は「負けてもおかしくない試合。自分を磨き、誰にも文句を言われないくらい強くなりたい」と、さらなる成長を誓った。