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毎日新聞「未来へのメッセージ」 理事長、アイカ対談

[2016-02-01]

敬天愛人

九州学院105年・未来へのメッセージ 卒業生が対談、人間力引き出す教育を /熊本

                                                                  <毎日新聞2015年12月5日 地方版>

 私立九州学院高校(熊本市中央区)は来年、創立105周年、男女共学25周年を迎える。聖書の教えに基づく「敬天愛人」(天を敬い、人を愛せよ)を校訓に、個性を尊重する自由な教育方針で知られ、毎日新聞は各界で活躍する卒業生へのインタビュー企画を始める。20日のスタートを前に、長岡立一郎理事長(69)=1965年卒業=と、シンガーソングライターのアイカさん(24)=2010年卒業=が、母校の魅力について語り合った。【構成・柿崎誠、敬称略】

 

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理事長・長岡立一郎さん、我が家のような学校に

シンガーソングライター・アイカさん、担任の後押しに感謝

 長岡 アイカさんとはだいぶ年の差があるよね(笑)。最近は活躍の場が広がっているようで、会えるのを楽しみにしていました。

 アイカ ありがとうございます(笑)。今はライブイベントや福祉施設の慰問などでギターの弾き語りをする活動をしています。

 長岡 芸能界はサバイバル。残念だが東京中心の傾向があるね。

 アイカ 歌う以上はメジャーシーンへという思いはありますが、熊本から東京、世界に音楽を発信したいです。これまでにアルバム1枚を発表し、昨年12月には県人権週間のテーマソング「こころ」を書き下ろしました。

 長岡 それはすごい。九州学院中学、高校の生活が影響を与えているならうれしいですね。

 アイカ 本当に影響は大きいですよ。「ステップ」という曲は、学生時代の甘酸っぱい恋愛がテーマですが、思い浮かべた舞台は母校です。校風が明るくて男女がのびのびと過ごすイメージが歌詞に反映されています。

 長岡 やはり若い頃の経験や出会いが大切だと思います。私の同級生には、福田病院理事長の福田稠君や画家の葉祥明君らがいるけれど、彼らには当時から発想の豊かさがあり、生徒一人一人の個性を伸ばそうとする先生たちがいた。当時の友達や先生たちとの出会いがなければ今の自分はないでしょうね。

 アイカ 九学は、先生と生徒の距離が近いですね。中学、高校の恩師は今でも連絡を取り合っていて、ライブにも来てくれます。夏の高校野球シーズンになれば友達と藤崎台球場に応援に行きます。

 長岡 私は小学生の時にやんちゃでね。黒髪小で「黒髪の横綱」というあだ名がついていた(笑)。九学に入って個性を大切にする校風が合ったのか、自分の柔らかい部分が引き出されていった。

 アイカ 私は3歳から九州を中心にモデルとしてCMや広告に出るようになりました。中学時代は活動を休んでいたのですが、昔から歌うことが大好きで歌手になりたかった。九学入学後は授業がある土曜日に福岡市の音楽塾に通っていましたが、担任の先生の後押しや学校の柔軟な配慮のおかげでした。

 長岡 九学は「勉強しなさい」の一辺倒ではない。レールに押し込めずに生徒の可能性を引き出そうとする。教育界はいまだに偏差値やテストの成績に偏向しがちだけれど、社会に出るとそれだけではダメ。むしろ人間力が大切でしょう。私も卒業生として人間力を育んで底力を引き出す教育をしたい。そして自分の家のように帰ってきたいと思える学校にしたいですね。

 アイカ すてきです。今でも朝に流れた賛美歌のメロディーをはっきり覚えています。

 長岡 時間がたてばたつほど学校での経験が無意識のうちに自分の体に刻まれていたと気づきますね。そうした体験が卒業してもサポートし合うことにつながっており、卒業生は大きな絆で結ばれているんだと思います。=次回は20日掲載。卒業生は俳優の高良健吾さんです。


 ■人物略歴

ながおか・りゅういちろう

 日本ルーテル神学大などを卒業。日本福音ルーテル八代教会などを経てドイツ牧師研修所に短期留学。東京・本郷教会、博多教会などを経て2009年7月から九州学院専任理事長を務める。


 ■人物略歴

あいか

 本名・宮田愛香。3歳から歌手になる夢を抱き、ボイストレーニングや演劇などに取り組む。CMや広告のモデルとして活躍。14年2月に1stミニアルバムを発表した。現在は熊本中心に歌手活動をしている。