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おしらせ

毎日新聞「未来へのメッセージ」 葉祥明氏(S17回)

[2016/02/26]

敬天愛人 九州学院105年・未来へのメッセージ 

「自分らしさ貫いて」 絵本作家・葉祥明さん

                        毎日新聞2016年2月14日 地方版

 

<熊本市中央区の中華料理店「紅蘭亭」に7人きょうだいの三男として生まれた>

鶴屋百貨店や熊本城は鬼ごっこなどをする遊び場でした。休日に父が連れて行ってくれた阿蘇の山、草原は外国のようでロマンをかき立ててくれました。その風景は今の作品に受け継がれています。

<小さい頃から絵や詩を書くのが好きだった。高校で出会ったある先生の言葉が夢へと背中を後押しする>

 兄たちと同じ九州学院に進みましたが、大学卒業までは人間の下地を作る時だと決めていたから勉強はほどほどでした。徒党を組むことはせず、人物画を描いたり、文芸誌を読んだりして過ごしました。ファッションにも気を使い、恋への憧れも増しました。ある日の授業で数学の先生が「紙と鉛筆で生きられるように教師になった」と話しました。その言葉を聞いて、僕は好きな絵の具と画用紙で生きようと思った。あの一言が将来を決めた。学校でそんな言葉と出会えるかが大切ではないでしょうか。

<父は「遊んでこい」と東京に送り出しくれ、立教大経済学部に進んだ。3年間はテニス愛好会に没頭した>

 あの3年間は人生の寄り道だったと惜しい気がしています。映画や文芸の同好会が自分らしいのに僕じゃないみたい。テニスが楽しかったんでしょうね。同じ失敗をしないように、その後の人生はぶれないように生きてきました。実は4年生の時、路上でギターを抱えた長い髪の少女と出会ったんです。ピンと来たから声をかけたんだけど、それが今の奥さん。自分の心にピンと響いた瞬間を大切にしてほしいですね。

<大学卒業後の1970年、ニューヨークの芸術専門学校で油彩画を学び、71年に帰国。72年に絵本作家として第1作を発表した>

 父は海外留学をしろという考えでした。海外生活をヒントにした初めての絵本「ぼくのべんちにしろいとり」を至光社(東京都)に持ち込んでデビューしましたが、常に作品で子供たちに良い影響を与えたいと考えています。100年、200年先の青年にとって役に立つような作品を書き残したいですね。

<自分らしさを貫く大切さを訴えている>

 文学や海外への憧れを持つ少年少女は多いはず。今いる世界からいつかはみ出してやろうとかね。人と同じことをしなくていい。一人一人持っている才能は違うから。一流大学から一流企業への就職など生き方のサンプルはいろいろあるけど、自分を型にはめる必要はない。既に答えが用意された学校の勉強も大事だけど、世の中にない物を創り出すことに本当の価値があるんじゃないかな。食いしん坊ならシェフになればいい。自分の欲求を抑えず解放してほしいね。そして、子供たちには自分の無限の可能性を信じてほしい。【柿崎誠】=次回は28日掲載。卒業生はお笑い芸人のゴリけん(本名・町田健一郎)さんです。

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 ■人物略歴

よう・しょうめい

 1965年卒業。90年に「風とひょう」でイタリアのボローニャ国際児童図書展グラフィック賞、97年には「地雷ではなく花をください」で日本絵本賞読者賞を受賞するなど子供の幸せや平和を願う作品は国内外で人気を集めている。昨年は弟で作家の葉山祥鼎さんと初めて合作した絵本「キツネのフーくんと風の郵便屋さん」(登龍館)が出版された。

(感謝)この記事は毎日新聞社より許可を得て転載を致しております。