高校のおしらせ

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荒木さん 高校生平和大使の思いを語る

[2017-09-20]

 9月19日(火)の朝礼において、第20代高校生平和大使として今夏ジュネーブにある国連欧州本部などで活動を展開した荒木美柚さん(2年)が特別メッセンジャーとして話をしました。

 署名を集めて届けるなどの公式活動とは別に、荒木さんには個人としての目標、すなわち広島や長崎で被爆された方々の体験や思いを同世代そして次世代に伝えることがあると冒頭部分で語りました。そのきっかけは昨年の熊本地震に関する新聞記事を読んだときであり、120年前にも熊本で大きな地震が起きたことやその詳細がきちんと当時の私たちに伝わっていない「継承の失敗」を知ったことでした。荒木さんは、もしもこの継承がうまく行われていたならば被害状況もまた違ったのではないだろうかと考えたそうです。

 原爆などの核兵器による甚大な被害やその悲惨さについても同じことがいえるのではないか。それを荒木さんは強く意識するようになりました。被爆者の平均年齢も80歳を超えるようになり、後遺症や病気で亡くなられる方々も年々増えている状況の近年では、修学旅行や平和学習で現地を訪れても被爆者の方々から直接体験や思いを語っていただく機会が少なくなっているそうです。

 高校生平和大使として被爆者の方々との懇談のときをもったとき、荒木さんは次の言葉を重く受けとめました。「あなたたちが私たち被爆者の話を聞くことができる最後の人たちです。平和のバトンを受け取って伝えていってほしいのです。」この言葉を何度も噛みしめた荒木さんは「私たちには伝える責任、そして(核兵器による被害を)繰り返さない責任がある」と決意しました。

 最後に荒木さんはホールそして教室でともに礼拝をまもる中高生たちに次のメッセージを送りました。「私自身も含めて常に被爆者の方々や戦争や原爆を意識しているわけではないと思います。しかし時々でいいですからそれらのことを考えてほしいし思い出してほしいと願います。決して忘れないことが繰り返さない、繰り返させないことにつながるのですから。」

 新約聖書『マタイによる福音書』5章9節(イエスさまの「山上の説教」の一節)には「平和を実現する人々は、幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」(新共同訳)とあります。これは単に戦争をしないだけでなく、他者との間でお互いを尊重してより良く生きることがいわれています。私たち人間にとってこれは決して簡単なことではありませんが、荒木さんやその思いを受けとめたなかまたちによる小さな行動の積み重ねがこの世界の平和の実現につながることでしょう。

 貴重なお話をしていただいた荒木さんに感謝します。これからもさまざまな活動に携わる荒木さんに神さまの祝福と恵みがますます豊かにありますようにお祈りいたします。

 

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