歴史余話

歴史の深層、歴史あれこれ 九州学院の卒業生でも意外に知らない学校の歴史エピソードやこぼれ話などをご紹介します。

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 第十八話 西一郎元院長 九州学院への深い想い(2)

九州学院の宝・卒業生の母校愛

 九学の貴重な宝は、母校愛に燃える卒業生です。少し古い話になりますが、創立20周年の記念事業として、図書館、特別教室、体育館を校庭の東側に建築する計画が決まり、卒業生にも募金の協力要請がなされました。昭和6年は1930年代の世界恐慌の最中で、日本にも不況の嵐が吹き荒れていました。また、卒業生の数も少なく、1回卒業の方々もまだ30歳代前半でした。しかし、「大恩ある遠山先生のために、母校のために」を合言葉に多くの方々が募金に賛同し、目標とした三つの建物が建築されたばかりでなく、当時は珍しかったプールが総タイル張りで完成したのです。この熱烈な母校愛は現在まで脈々と息づいています。
 近くには昭和50年代に、キャンパスの効率的利用の一環として、熊本大水害で傷んでいたブラウン記念チャペル(講堂)を取り壊す計画が学校側で検討されていました。すでに図書館や特別教室は水害や白蟻の被害のため取り壊されていました。このことを知った同窓生の方々は、「魂の故郷を守ろう」と有志に呼びかけ、募金した改修資金を学校に差し出されました。学校は同窓生の熱意にうたれて計画を変更し、チャペルの全面改修を行いました。ご存知の通り、礼拝堂は平成8年に文化庁の有形文化財に登録されました。
 創立70周年の記念事業には、同窓生の方々の発案で“育英奨学基金”が募金目標の一つに加えられ三千万円の基金が設立され、毎年十数人の在校生がその恩恵に与っています。後輩を思う先輩同窓生の熱い気持ちが在校生の励みになっています。
 卒業後の同窓生の結びつきは、卒業時のクラスや学年の横の繋がりが通例ですが、○○銀行、□□デパート、役所や会社のような職場によるもの、△△九学会のような同業者、関西、関東などの地域によるものなど、学年を超えた縦の結び付きが九学同窓会の特徴です。特に強いのがクラブによる結びつきで、事あるごとに物心両面で母校に声援を送って下さいます。他県での試合で、保護者の横でまるで自分の身内が試合しているかのように応援しているOBの姿を見ると胸が熱くなります。
遠山 参良 初代院長
 ご自身の大切なご子弟を母校に送ってくださる卒業生が多くおられます。自分が受けた教育、自分が過ごした青春時代を子供にも味あわせたいと三年間も六年間も多額の校納金を払ってくださるのは、教師を信じ、学校を信じ、高く評価して下さるからです。「共学になったので娘も九学にやれるごつなった」と言って喜んでくださる卒業生のお言葉は百万人の味方です。
 県下の教育の現場で活躍しておられるOB教職員もかけがえの無い九学の宝です。有能な生徒を育て母校へと送り出してくださる皆様、力強い援軍です。
 少子化の時代になり、私立学校はそれぞれ生徒確保のために頭を痛めていますが、九学には強力な応援団がいることを力強く感じます。

九州学院の宝・クラブ活動

遠山 参良 初代院長
 創立90周年を迎えた昨年の暮れ、同窓生の血を沸き立たせたのは京都での高校駅伝です。惜しくも初優勝は逃がしましたが、堂々の準優勝。二時間にわたってテレビに釘付けになりました。
 剣道、柔道、ボクシング、野球、水泳、ハンドボール、陸上、自転車、卓球、バスケット、ラグビー、バドミントン、弓道、空手など、九学には県下はもとより全国にその名を知られる強豪チームがひしめいています。かっては、ブラスバンドやグリークラブが活躍した時代もありましたが、放課後の課外学習のあおりを受けて衰退してしまったのは誠に残念です。
 九学には特定の強化クラブはありません。有力選手を県外や国外からスカウトする優遇制度もありません。学校からの年間予算も各部十数万円という限られた金額で、生徒の校納金のなかの学友会の項目で徴収された金額が総予算です。永年据え置かれたままです。全国大会に出場する時は県や市から補助金が下りますが、限られた金額です。足りない部費への臨時収入が、甲子園募金の会計に余剰金が出た時です。甲子園出場に際しての募金は盛り上がりますが、他のクラブではなかなか募金ができません。余剰金は全クラブで分け合うのが学院での了解事項になっています。予算の面でも、お互いに譲り合い助け合う気持ちが強いチームを育てています。
 活発なクラブ活動は、指導者の熱意に支えられています。その上、保護者のご協力に加えて、九学に物心両面から応援してくださるOBの方々の熱意があるのですから、正に鬼に金棒です。
 中学部でも、全国優勝の経験がある水泳、剣道、柔道などが高校生に交じって日々練習に励んでいます。

遠山 参良 初代院長
 以上、九学が誇る宝のいくつかについて述べてみましたが、九学は実に多くの恵みを受けています、
 地の利にも恵まれています。市内の幹線道路沿いに位置し、交通の便は最適です。一昨年から電車通り側の校門前にバス停ができ、毎日数百台のバスが学校前を通る度に“九州学院前”が連呼されています。
 また、他校が羨む立派な全天候トラックの校庭、8レーンの屋内プール、2棟の学寮、1学年が収容できる暗室兼用のホール、コンピューター室、それに校外の徳王グラウンドには、野球場に隣接してプロ球団並みの屋内練習場や、サッカー場、ハンドボールコート等など、県下有数の素晴らしい施設・設備を持つ学校です。さらに、創立90周年を記念して、現在、中学校の新校舎の建設に取り掛かっています。(完)

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